Act.18「Pusher Syndrome」定期勉強会2016.11.27①
ご無沙汰してます。河内です。
先日、第21回Skype勉強会を行いました。
最近加わった田中と私の発表でした。
自分の発表をまとめたいと思います。
『Pusher Syndrome』
皆さんは見たことあるでしょうか? いわゆるこんな人ですよね。笑
今回、「Pusher Syndrome」について
1)なぜこのような状態になるのか、
2)このような人に対してどのように介入していくべきなのか、
3)そもそも私たちの姿勢制御はどのようになっているのか、
といった3つのテーマで話を進めました。
1)なぜこのような状態になるのか。
そもそもの疑問ですよね。今回は脳の機能解剖を中心に概要を簡単にまとめました。
簡単に言うと、
「視覚と体性感覚のマッチングの障害」
「空間に対しての自己の姿勢定位の障害」
ではないでしょうか。
マッチング、姿勢定位=統合と考えていくと、
頭頂葉の存在がポイントになるのではないでしょうか。
上記のような機能を持っていますよね。
外部環境から得られる様々な情報(視覚、体性感覚、聴覚など)を統合し、
抽象化させたり、自身と外部環境の状況を認知させます。
前者の抽象化は、脳がとても効率良くできていることを象徴しているのでは
ないでしょうか。具体的なもので情報を貯蔵しておくと量が多すぎてしまい、
パンクしますよね。
下記のように脳(主に頭頂葉)の中では情報を貯蔵していると思われます。
(例:馬 左図;具体化 / 右図;抽象化)
少し話が逸れましたが、
今回のPusher Syndromeにおいては後者の自身と外部環境の状況の認知が
重要になってくるのではないでしょうか。
自分が外部環境の中で傾いていることがわからないから『押しちゃう人』になる。
考えられそうですよね。しかし、明確なメカニズムは解明されておらず、
責任病巣についても様々な報告が出ています。
(メカニズムは、
"second graviceptive system"の障害説
が有力と言われているみたいです。
また、責任病巣においては、
視床(特に後外側核)、島皮質後部、中心後回皮質
が多いみたいです。)
2)どのように介入すべきなのか。
簡単に言えば、押さなくてもいいことを知ってもらいたいです。
急に半身麻痺になったことにより、身体の使い方がわからないため、
使える部分を力一杯に使った結果かもしれませんし、
麻痺側の感覚が入力されていないが故の結果かもしれません。
メカニズムがそもそも明確になっていないため、言い切れません。
そのため、
壁などにもたれてもらい、力一杯に使っている部分を脱力してもらうことも一つの
方法と考えられますし、教科書などで目にする鏡や点滴棒の使用も活用すべきと
思います。
3)私たちの姿勢制御はどのようになっているか?
脳の機能解剖や触れ方、考え方の話をしましたが、そもそも私たちって
どうして押しちゃう人にならずに座れるのでしょうか。
つまり、
どのようにして私たちは座っていると認知しているのでしょうか。
Pusher Syndrome=脳の機能解剖学的な障害
→情報の統合ができないから押しちゃう
それでは、私たちの介入の糸口がなくなっていくだけですよね。
そのため、いくら統合の障害と言われていても
座っているという情報を何らかの形で入力していくことも大切と思います。
これは一例です。まだまだ考えられると思います。
皆さんも是非、考えてみてください。
そして、これらの情報は、
これら3つの情報を元にしていると考えます。
一例として体性感覚情報を紹介します。
体性感覚の中でも深部感覚、特に足部周辺の筋や腱ってとても重要です。
これらの受容器に情報が入力されてから姿勢制御(姿勢応答)が起きるまでの
時間は0.1秒と言われています。
つまり、とても繊細な姿勢制御に関わっているの部分ですよね。
脳血管障害によって、二次的に筋肉が硬くなった状態では、
そもそもこれらの受容器が上手く作動しませんよね。
憶測になりますが、上記のような二次的障害がPusher Syndromeを
助長しているかもしれませんよね。
今回は、Pusher Syndromeというキーワードを元に
1)簡単な脳機能解剖について
2)考え方、関わり方の注意点について
3)そもそもの姿勢制御や姿勢について
をまとめました。
このような専門性の強い知識もさらに深めて、経験を積んでいきたいと思います。
随時、アップデートしていきたいですね。
改めて自分自身がなぜ座れているのかなど考えてみると面白いですね。
以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。
文責:河内浩希